2014年 12月 19日
親族や身内だけで十分じゃないか
しかし、MRIを見てもはっきりとした脳梗塞はみとめられず、あくまでも「疑いがある」程度だが症状は脳梗塞そのものなのだそうだ。
病室に行くとばあちゃんは眠っていたが、明らかに顔つきがおかしい。弛緩してゆがんでいる。口から舌が出ている。看護師が、「入れ歯をはめていても落ちるので、こちらで預かっています」と言った。
枕元に立つと、気配を感じてかうっすらと眼を開け、しきりに口をモガモガさせる。舌が言うことをきかないようで、口の中に収まらない。
「入れ歯?」と聞くと頷くので、「入れ歯はスタッフが預かってくれているから大丈夫だよ」と言うとまた頷く。こっちが言っていることは理解できているようだ。しかし、視線が合わない。眼がすぐに横へ流れていく。
主治医によると、食事をとるのは無理なので点滴をしているが、長期間の点滴は心臓に負担がかかるので、やがては鼻に管を通して栄養を摂取することになるという。心臓が悪いと脳梗塞も起こりやすくなるので、これからも急激な変化がある可能性が高いということだ。
つい昨日まではベッドで起きていて、自分でスプーンを使って昼食をとっていたのにである。今日の劇的ともいえる変貌ぶりはいったいどうしたことなのだ。
それから一週間が経つ。
ばあさんは廃人のようになってトロトロしている。呼びかけへの頷きもますます小さくなった。
そしてねこママは、もう何年も付き合いのない知人にまで年賀状でばあちゃんのことを知らせているじいさんと大喧嘩中である。
「知らせなかったら『なんで知らせなかった』と言われて俺の立場がない!」とじいさんは言うんです。そして、「見舞いに行くと言われたら断るわけにはいかないだろう!」と怒る。
しかし・・・ねこママはばあちゃんがこうなる前に、会いたい人のことを聞き出して連絡をとり、来てもらった。そのとき、件の知人のことは「別に会いたくもない」と言われていたのである。
昔はばあちゃんと仲がよかった人だが、9歳という年齢差のせいか、ばあちゃんが高齢化するにつれて次第に連絡が間遠になり、電話一本こなくなってから何年も経っている。
だが、じいさんは律儀にそのご夫婦には毎年年賀状を出していたのですね。なので、いつまでも自分たちの友達だと思っている。だから、知らせるのは当たり前だし見舞いに来ると言えば断るわけにはいかないと言う。
そしてねこママといえば、ばあちゃんの看取りの準備が始まっていると思っているので、こうなったらもう、親族、身内、親しくしていた近所のお友達以外には来させたくないと思っている。
これらの人々とで、静かに看取りをしていきたいと思っている。
それ以外の人々には何も伝えず、ひっそりと幕を下ろしてやりたいと願っている。
亭主も子供達も理解してくれているのだが、「俺の立場がない!」と怒るじいさんを抑えても、いつかは「あの人に会わせてやらなかった、この人に会わせてやらなかった」「世話になった人たちに会わせてやらないまま死なせてしまった」と、悔恨しながら生きられても困る。
しかし・・・風貌が変わって視線も会わず口もきかず、ボンヤリとした様のばあちゃんだが見舞いに来たいなら来させてやりたいというのは、生きている人間のエゴ、ひとりよがりだという気がしてならないのである。
今日は「しかし」が多い文章になってしまった。
by nekotamamako323
| 2014-12-19 11:04
| う~~~~む