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スットコじいちゃんの心霊話 その2

「とにかく俺と伯父は十日町でバスを降りて、そこから自宅のある集落まで山道を歩いて帰るつもりだったが、暗くなってくるし、幽霊の話を聞かされるしですっかりイヤになってしまった。それで、十日町からしばらく行ったところにあるA坂という集落に伯父の娘が嫁いでいたので、一晩そこに泊めてもらって次の朝に帰宅した。

それから二十年近く経って、俺は埼玉のG田市にある染物工場へ出稼ぎに出た。
そこで知り合ったT永という男と話していて、たまたま彼がその幽霊が消えた川の向こうの集落のひとつから来ているとわかった。
それで、若いときの俺がバスの運転手と車掌から聞かされた話をしたら、T永は『それは俺の集落で本当にあった話だ』と教えてくれた。『ずっと昔のことだけど』

なんでも、若い娘が紡績工場に働きに出て、そこの若旦那の手がついて妊娠した。娘はこれでお嫁さんになれる、と喜んだが、学歴もない貧乏な田舎の娘など社長の奥さんに迎えられるわけもなく、あっさりと捨てられて田舎に帰らされてしまった。
もう一度男に会って話し合おうとしたが、父親である社長が出てきて、『道楽息子は勘当した。関西に行ってしまってここにはもういない!』と言ってすげなく追い払われてしまった。

娘は仕方なく大きなおなかを抱えて帰郷し、八箇峠でバスに乗って川のそばの停留所で降りて、橋の上から身投げして死んでしまった。だからその娘の幽霊が八箇峠トンネルの入り口でバスに乗せてもらって、川のそばの停留所近くまで来ると消えるのだ。

と、そうT永が話してくれた」


なるほど。

このことがあるからじいさんは、心霊関係の話になるとガードを固めたような態度になるのか、とねこママは思い当たった。
なんせねこママも、小さいときに見た不思議な侍たちのことが今も記憶の底にあり、その話をするとじいさんはアルマジロかと思うほど態度を堅くして寄せつけなくなるのである。

まあしょうがないね。と言うしかない。


by nekotamamako323 | 2016-08-05 09:15 | ひゃああああ