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緘黙症のこと

緘黙症のこと_c0077465_12551066.jpg図書館でなにげなく手にとった本。ぱらぱらと立ち読みして、緘黙症という症状に非常に思い当たることがあったので借りてきた。

もちろん、ねこママではないですよ。笑
中学の同級生で、一度も同じクラスになったことはないがあまりにも緘黙なためある意味で有名人だったU子のことだ。

小学校6年生のときに、ねこママたちいくつかの分校の生徒と町の本校の生徒たちが合同で修学旅行をした。
旅館も一緒なので、他の分校や本校の生徒たちとはすぐに仲良くなったが、あるとき、本校の誰だったかが1人の同じ本校の女の子を睨むように見て、ねこママに「あのコ、全然喋らないんだよ!」と囁いた。

「喋れないの?」

「・・・喋れるんだけど・・・喋らないんだよ」

「なんで?」

「わからない」

耳は聞こえているという。

聞こえるのに喋らない。その意味が全くわからぬまま修学旅行は終わり、じきにそのことを忘れた。
中学生になって、そのコの顔を見て思い出したが、クラスが違うので気にしなかった。

一年生の頃はまだ小学校の延長なので、休み時間になるとみんなで体育館に駈けていって、馬乗りだの押しくらまんじゅうだのをやって賑やかに遊んだが、そのコはいつもうつむきながら1人で体育館に行き、1人で壁を背にこわばった表情で何を見るともなくただ黙って立っているのであった。卒業までの3年間、そんな調子だったようだ。

よく見ると目鼻立ちは整っているし、眼は大きくて睫毛も長い。つやつやとした綺麗な髪を当時は誰もやらないおかっぱ風に切りそろえて、(そういえば、髪が長く伸びていた、とかぼさぼさだったとかいうことはなく、定期的にカットをしているようだった)陰で「クレオパトラ」と揶揄されていた。

中三の修学旅行で、クラスは違うがバスが一緒だったので、ねこママはちょっと声を掛けて仲良くなってみようと思い、U子を窓際に座らせてその隣りに自分が座り、いつもねこママとくっついていた親友のK子には申し訳ないが補助椅子に座ってもらった。
そこで外の景色を見ながらいろいろと話しかけてみたのだが、うつむいたまま、ものすごくちっちゃい声で「ええ・・・・」「ええ・・・・」としか言わない。

ねこママはいくらも経たずに仲良くしようと思ったことを後悔し、その後の記憶はないのだが、あとで「だからあのコは無理だってば」とあれこれ言われたように思う。
大昔のことなので、断片的な記憶しかございません。笑
高校生になってから、道でバッタリとU子に会って声を掛けられて少しお喋りした、と友達に聞かされて、天地がひっくり返るほどびっくりしたねこママです。

中学を出て進学せずに富山の紡績工場に就職したという話は聞いていたが、そこで性格が変わったのか???と頭にいくつもの?マークをつけていたら、そうではなくてもともと学校では全く喋らなくて、でも家や学校の外では喋るんだよ、という。
が、学校での様子とあまりに落差があるのでやっぱり違和感はあるらしく、U子を小学校のときから知っているその友達も苦い表情をしていた。

・・・というようなことを、本を読みながらつぎつぎと思い出している。今思うと、U子は「場面緘黙症」というようなものだったのだろう。
今はどうしているんだろう。幸せに暮らしているのかしら・・・。


by nekotamamako323 | 2017-04-13 13:35 | う~~~~む